診察前検査についてPre-examination tests

発熱外来では、発熱の原因を特定し、適切な治療を行うために検査を行うことがあります。感染症(インフルエンザや新型コロナなど)や他の病気の可能性を判断し、重症化を防ぐためにも、迅速で正確な診断が重要です。
当院の発熱外来の診察前検査における主な検査の種類や、どのようなケースでどういう目的で検査を行うのかを解説いたします。

インフルエンザ迅速抗原検査

発熱やのどの痛み、咳などの症状がある場合や、近接者にインフルエンザにかかった人がいる場合は、インフルエンザの可能性があるため、基本的にはインフルエンザ迅速抗原検査を行います。​
この検査を実施する理由は、発症から48時間以内であれば、健康保険適用で抗インフルエンザ薬を処方でき、治療効果も高いためです。また、短時間で陽性・陰性の結果がわかるため、迅速な対応が可能になります。

新型コロナPCR検査

発熱やのどの痛み、咳などの症状がある場合や、近接者に新型コロナにかかった人がいる場合は、新型コロナの可能性があるため、基本的には新型コロナPCR検査を行います。
新型コロナにおいて基本的にはPCR検査を行う理由は、コロナ用の抗ウイルス薬がインフルエンザに比べると効果が低いこと、価格が3割負担で15,000円以上かかることなどから、実際に薬を処方することは少なく、治療としては対処療法であること、一方で他の感染症に比べて感染力が非常に高く、感染している場合には、周りの人間(特に高齢者の方)へ感染拡大しないように慎重に対策を取る必要があることから、より精度の高いPCR検査を実施します。
また、新型コロナに感染しているかどうかを調べるもう一つの理由としては、新型コロナに罹患後症状(いわゆる後遺症)が多いことから、様々な症状について新型コロナの後遺症である​可能性を考慮する必要があるため、新型コロナに感染しているかどうかを前もって調べておくということが挙げられます。

溶連菌迅速抗原検査

食べ物や飲み物、唾液を飲み込む時に強い痛みがある場合、喉が赤く腫れている場合、白い膿のようなもの(白苔)が付いている場合、または舌がイチゴのように赤くブツブツしている場合は、溶連菌感染の可能性があるため、検査を行います。​
溶連菌について迅速抗原検査を行う理由は、溶連菌感染の場合には症状が重症になりやすく、扁桃周囲膿瘍を起こすこともあり危険であることや、抗生剤を処方されて服用しないと治らないこと、また周りにも感染しやすく、周囲へ感染しないよう気を付ける必要があることの3つが挙げられます。

アデノウイルス迅速抗原検査

近接者にアデノウイルスに感染している人がいて、アデノウイルスの症状に合致する場合には、アデノウイルス迅速抗原検査を行います。
近接者がいない場合に検査しない理由としては、ウイルス性の感染症のため治療としては対処療法で、原因ウイルスがわかっても治療法が変わらないことが挙げられます。逆に近親者がいる場合に検査する理由としては、近接者がアデノウイルスに感染している可能性がある程度高いこと、感染していた場合は感染力の高いウイルスのため、家族などへの感染を防ぐために対策をする必要があることが挙げられます。

SpO2(サチュレーション)検査

咳や痰がある場合には、まずSpO2(サチュレーション)検査を行います。検査をおこなう理由は、咳、痰、発熱の症状がある場合、肺炎などの呼吸器疾患が原因でSpO2(サチュレーション)が低下している可能性があり、
逆に言えば、SpO2を測ることで簡単に呼吸状態を把握することができるため、これらの症状がある場合には一番初めにSpO2を測ります。

胸部X線検査

咳、痰がある人であれば保険適用のため、希望者には胸部X線検査を行います。
SpO2が96%未満の場合、症状が重い(「安静にしていてもつらいし、起き上がって活動するのはかなりつらい」以上の方)場合や、咳・痰がだんだんひどくなっているという方、1週間以上咳や痰が続く場合や血痰の場合には、基本的には診察前検査を推奨しています。理由としては、肺炎になっているかの鑑別と、血痰の場合には原因となる異常(病気)を探るためです。

CRP/血算迅速検査

SpO2が96%未満の場合、症状が重い(「安静にしていてもつらいし、起き上がって活動するのはかなりつらい」以上の方)場合や、咳・痰がだんだんひどくなっているという方、1週間以上咳や痰が続く場合や、血痰の場合には、CRP/血算迅速検査を行います。またのどの症状がひどい場合にも同様にCRP/血算迅速検査を行います。
検査を行う理由としては、CRPや白血球が体内の炎症度を測る検査になるので、①重症リスクの鑑別、②ウイルス/細菌の鑑別を行えることが挙げられます。また、症状が重い扁桃炎では基本的に抗生剤を処方しますが、伝染性単核球症の場合には抗生剤で副作用(皮疹)を起こすことがあるため、異形リンパ球の数などで伝染性単核球症の鑑別を行う必要があります。

マイコプラズマ肺炎迅速抗原検査

近接者にマイコプラズマ肺炎に感染している人がいて、マイコプラズマ肺炎に合致する症状の場合には、マイコプラズマ肺炎迅速抗原検査を行います。​
近接者がいない場合には、一般の肺炎に比べて感染している患者数は少ないため、特に限定して検査を行いませんが、近接者がいる場合には、咳、痰がある人であれば疑う余地が十分にあるため検査を行います。​
検査を行う理由として、マイコプラズマ肺炎は一般的な肺炎に使うセフェム系やペニシリン系抗菌薬が効きにくく、マクロライド系・テトラサイクリン系・キノロン系抗菌薬を使う必要があるため、 肺炎の原因菌の鑑別目的で検査します。

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